
パリの街を縦横無尽に走るメトロやバス。石畳の美しい街並みを満喫するには、公共交通機関の攻略が欠かせません。かつては紙の切符「Ticket t+」が主流でしたが、現在はICカード「Navigo Easy(ナヴィゴ・イージー)」への移行が進み、旅行者にとって必須アイテムとなりつつあります。
この記事では、Navigo Easyの購入方法からチャージ、使い方、さらには2025年の最新料金情報まで、パリ観光をスムーズにするための全てを詳しく解説します。
Navigo Easyとは?パリ観光に最適な理由
Navigo Easyは、日本のSuicaやICOCAのように、カードにお金をチャージして使う非接触型の交通系ICカードです。主な特徴は以下の通りです。
- 手軽さ: 駅の窓口や券売機で、証明写真や身分証明書なしに誰でも€2で購入できます。
- チャージ式: 必要な分だけ、好きなチケット(回数券や1日券など)をチャージして使えます。
- 非記名式: 個人の情報と紐付いていないため、購入後すぐに利用を開始できます。
Navigo Découverteとの違いは?
パリにはもう一つ、「Navigo Découverte(ナヴィゴ・デクーヴェルト)」というICカードがあります。こちらは証明写真付きの記名式で、主に1週間(月曜〜日曜)や1ヶ月単位の乗り放題券をチャージして利用するのに適しています。
Navigo Easy | Navigo Découverte | |
---|---|---|
カード代 | €2 | €5 |
必要なもの | なし | 証明写真 (2.5cm x 3cm) |
主な用途 | 回数券(t+)、1日券、空港バス券のチャージ | 1週間券、1ヶ月券のチャージ |
おすすめの人 | 短期滞在の旅行者、利用頻度が少ない人 | 1週間以上の滞在者、頻繁に利用する人 |
滞在が数日間で、主にパリ市内の移動を考えている旅行者なら、断然Navigo Easyが手軽でおすすめです。
メリットとデメリットを知って賢く使おう
便利なNavigo Easyですが、利用する前にメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリット:
- 購入・利用が簡単: 面倒な手続きは一切不要です。
- 切符を買う手間が省ける: 券売機に並ぶストレスから解放されます。
- 料金がお得に: 紙の回数券「カルネ(Carnet)」は廃止されましたが、Navigo Easyに10回分チャージすると割引料金が適用されます。
- スマホでチャージ可能: 専用アプリを使えば、いつでもどこでもチャージができて非常に便利です。
デメリット:
- 複数人での共有は不可: 1枚のカードで複数人が同時に改札を通ることはできません。一人一枚持つ必要があります。
- 紛失・盗難時に再発行・返金ができない: 非記名式のため、なくしてしまうとチャージした残額も戻ってきません。
- 全てのチケットに対応しているわけではない: 長距離列車や特定の郊外行きチケットはチャージできない場合があります。(ただし、2025年の制度変更で対応範囲は拡大傾向にあります)
Navigo Easyの購入方法
Navigo Easyは、メトロやRER(高速郊外鉄道)の駅にある窓口または券売機で購入できます。
- カード本体価格: €2 【券売機での購入手順】
- タッチパネルで言語を選択します(英語対応)。
- 「Buy cards」や「Purchase a Navigo Easy pass」といった趣旨のメニューを選択。
- 画面の指示に従い、€2をクレジットカードまたは現金で支払います。
- カードが発行されます。続けてチケットをチャージすることも可能です。
【窓口で購入する場合】 駅員さんに「Un Navigo Easy, s'il vous plaît.(アン ナヴィゴ イージー スィル ヴ プレ)」と言えば簡単に購入できます。同時にチャージもお願いできます。
チャージできるチケットと料金(2025年最新情報)
Navigo Easyには、利用スタイルに合わせて様々な種類のチケットをチャージできます。2025年1月から料金体系が一部変更され、よりシンプルになりました。
チケットの種類 | 料金(目安) | 内容 |
---|---|---|
Ticket t+ | €2.15 | メトロ、RER(ゾーン1内)、バス、トラムに1回乗車可能。90分以内のバス同士、トラム同士の乗り換えは無料。 |
Carnet (10 tickets t+) | €17.30 | Ticket t+の10枚セット。1枚ずつ買うよりお得。 |
Forfait Navigo Jour (1日券) | €8.65 (ゾーン1-2)〜 | 指定したゾーン内が1日乗り放題。購入した日の0:00から23:59まで有効。 |
Roissybus Ticket | €16.60 | シャルル・ド・ゴール空港 (CDG) とパリ市内(オペラ座)を結ぶバス。 |
Orlybus Ticket | €11.50 | オルリー空港 (ORY) とパリ市内(ダンフェール・ロシュロー駅)を結ぶバス。 |
【2025年の注目ポイント】 これまで複雑だったパリ郊外(イル=ド=フランス地域)へのRERの料金体系が簡素化されました。多くの区間で料金が固定化され、旅行者にも分かりやすくなっています。
チャージ(リチャージ)はスマホアプリが断然便利
チャージは駅の券売機でも可能ですが、最もおすすめなのがスマートフォンアプリ「Bonjour RATP」を利用する方法です。 【アプリでのチャージ手順】
- 「Bonjour RATP」アプリをダウンロードし、アカウントを作成します。
- アプリの「Tickets」タブを開き、「Read my pass」を選択。スマートフォンのNFC機能(おサイフケータイ機能)を使って、Navigo Easyカードを読み取ります。
- 「Buy on my pass」を選択し、チャージしたいチケット(例: Carnet of 10 t+ tickets)を選びます。
- クレジットカード情報を入力して決済します。
- 再度カードをスマートフォンにかざし、「Load my pass」をタップするとチャージが完了します。
この方法なら、列に並ぶ必要もなく、フランス語が分からなくても簡単にチャージできます。iPhoneユーザーは、Navigo Easyをウォレットに追加して、スマートフォン自体をカードとして利用することも可能になりつつあります。
Navigo Easyの使い方
使い方はとてもシンプルです。
- 改札: メトロやRERの改札にある紫色の円形の読み取り部分に、Navigo Easyをタッチするだけです。
- バス・トラム: 乗車時に車内にある同様の読み取り機にタッチします。
- 残高確認: 改札通過時、読み取り機の横にある小さな画面に残りのチケット枚数が表示されます。「Bonjour RATP」アプリでも確認可能です。
まとめ:Navigo Easyでパリの旅をスマートに
Navigo Easyは、パリを訪れる短期旅行者にとって、移動の自由度と快適さを格段に上げてくれる魔法のカードです。購入も使い方も簡単で、アプリを使えばチャージも思いのまま。
紙の切符を探したり、毎回券売機に並んだりする時間を節約して、その分一つでも多くの美術館を訪れたり、カフェで素敵な時間を過ごしたり… Navigo Easyを賢く活用して、忘れられないパリの思い出をたくさん作ってください。